運輸と流通
スノーボーディングを定義するものとは?つまりはムーヴメントである。
ユニークな身体の動きと魂が躍る快楽。その全ての動きに取り憑かれ、スノーボーダー達はボードを履き、重力とのダンスを楽しみながら山を滑り続けます。
雪の上でA地点からB地点まで移動するのであれば、数多くの方法があります。スキー、スノーボード、もしくはシンプルに自分たちの足だけで歩くことだってできるでしょう。とは言え、山の中を自由に駆け巡る手段としてはスノーボードが最もイケています。では、スノーボードの定義とは何なのでしょうか?そして私たちはなぜそこまでのめり込んでしまうのでしょうか?その理由はなんと言っても、凍りついたこの地球上にある特別な場所を滑るという唯一無二の感覚に陶酔するからなのでしょう。
2020年に私たちはJones Snowboardsが生産する全てのスノーボードにおけるカーボンフットプリントを算出し、LCA(ライフサイクルアセスメント)を完成させました。この一歩踏み込んだサステイナビリティ評価は、生産から出荷までJonesが生産する全てのボードにおけるライフサイクルを分析したものです。スノーボードに使われる全ての素材のカーボンフットプリントを細かく分析した私たちが次に注目したのは、その製品における運輸と流通がもたらす環境インパクトです。その結果発見したものは、スノーボーディングの喜びと深く繋がるものでした。
工場に原材料を運びこみ、完成した製品を代理店や小売店、カスタマーへと届けるプロセスは、最高の製品を全てのスノーボーダーに広めるためには避けることの出来ないことです。そしてスノーボーディングと同じように、持続可能な方法でこれらの製品を流通させるにおいてもスタイルが全てなのです。
原材料から製品までのカーボンフットプリントを明確にする上で、私たちはその一連の流れを3つのセクションに分けました。①サプライヤーから工場 ②工場から倉庫 ③倉庫からカスタマーの3セクションです。
製造から流通まで、できる限り持続可能な方法で行うには?今回はそれぞれのセクションを分析した結果を皆様にお伝えしたいと思います。
原材料の調達
Jones Snowboardsは全てアラブ首長国連邦、ドバイにある工場で生産されています。多くの人にとっては、ドバイでスノーボードを作るなんて想像できないでしょう。しかしヨーロッパとアジアの二つの地域から大半の原材料を仕入れる事に関して、ドバイは地理的に絶好の場所であると言えます。
ベース、エッジやサイドウォールなど、スノーボードを造る上で最も多く使われる原材料の大半をヨーロッパのサプライヤーから仕入れています。ウッドベニヤシート、インサート、そしてウッドコアに使用される材料はアジアから運び込まれます。それぞれのサプライヤーの詳しい情報はサプライチェーンマップをご覧ください。
皆様がショップで製品を触ることのできる秋、その1年前から原材料の仕入れが始まります。十分な時間的余裕を持つ事により、原材料の欠品や製造プロセスでのトラブルに対応でき、さらに原材料を最も持続可能な方法でドバイの工場へと運ぶことができます。その方法こそが海上輸送なのです。
海上輸送では、飛行機での輸送に比べて二酸化炭素排出量が約100分の1になります。
工場へと原材料を運ぶ上で消費される二酸化炭素量。この結果は決して驚くことではなく、私たちが今まで海上輸送を主に選んできた理由を再確認してくれました。また海上輸送と空輸の大きな違いは、完成した製品を倉庫へと輸送するときに顕著に表れます。
海より遠く、そしてより広く流通させる
完成したスノーボードやスプリットボードは世界35カ国へと送られます。この際の輸送手段の88%は海上輸送であり、残りの10%は空輸、そして2%はトラックでの陸送となります。
空輸はエネルギー消費量が非常に大きいため、代理店や倉庫へ運ぶ際、飛行機で輸送される量は全体の10%の貨物量であるにも関わらず、発生する二酸化炭素は全体の90%を占めています。比べて製品の輸送における88%を占める海上輸送による二酸化炭素排出量は8%、2%のトラック輸送は2%と、流通における最初の段階で排出される二酸化炭素の割合が高いのです。
空輸には環境面と経済面の両方のコストがかかることを認識した上で、私たちは常に不要な空輸をなくすよう努力しています。私たちが航空便を利用するのは、生産スケジュールの都合上で試作品やサンプルを早く工場からオフィスに送る必要がある場合のみです。
また、2017年からは工場から世界最大の小売店であるREIに海上輸送でダイレクトに送ることで、この流通段階における二酸化炭素排出量の一部を削減しています。このプログラムは、すでに大量のエネルギーを節約しています。1年間でREI社とのサプライチェーンにおける排出量を66%削減し、合計で1.5トンの二酸化炭素を削減しました。
この成功を受けて、次のシーズンにはいくつかの主要な小売店への直送を開始する予定です。
完成した製品をカスタマーへと送る
外航貨物船が港に到着すると、スノーボードがぎっしり詰まったコンテナはトラックに積まれ、倉庫へと運ばれていきます。私たちの2つの大きな倉庫はフランスのアルザスとアメリカのネバダ州にあり、どちらも港から数時間で到着します。
さて、倉庫の話に戻りますが、私たちはディーラーからの注文やカスタマーからの直接注文の大半をトラックで出荷しています。倉庫から出荷される注文の82%は陸送で、残りの18%は空輸です。
ここでも、ちょっと我慢することで環境負荷を減らすことができます。比較的時間のかかるトラックでの陸送ですが、二酸化炭素の総排出量においては全体の35%を占めています。それに比べて時間短縮が可能な空輸では残りの65%を占めているのです。
Jones SnowboardsのUSウェブサイトから直接商品を購入される北米のeコマースのお客様には、このような理由から常に陸送をお勧めしています。お客様が2日または翌日の航空便を希望された場合、販売に伴う環境負荷が劇的に増加してしまうのです。もしあなたが北米在住で、USのオンラインから何か注文するときには、是非このことを思い出してください。どうしてもすぐに手に入れたい場合以外は、陸送をお選びください。
まとめ
運輸と流通における二酸化炭素排出量の分析において、私たちは原材料調達からカスタマーへとボードを届けるまでのカーボンフットプリントを知ることができました。
予想していた通り、流通における二酸化炭素排出量の多くは製品を世界中へと送るセクションでした。世界中にある倉庫や代理店、ディラー、そしてカスタマーへ送る際に排出される二酸化炭素の量は190トンに登ります。これは総排出量の85%を占め、残る15%はサプライヤーから原材料を仕入れる際に排出されます。
資源調達、そして製品流通を分析すると、91%は海上運輸、4%は陸送、4%は空輸、そして残る1%は内航船による運輸であることがわかりました。
流通における大半を最も持続可能な方法である海上運輸を選んでいる結果に私たちは大変満足しています。しかしながらわずか4%を占める空輸は、大量の二酸化炭素を排出しています。二酸化炭素排出量だけを見てみると、75%は空輸が占めており、海上運輸は17%、そしてトラックでの陸送は8%を占めています。
海上輸送は最も時間のかかる方法かもしれませんが、スノーボードの経験からもわかるように、まっすぐで速いラインが必ずしもベストなラインとは限りません。空輸がどれほど環境に負担をかけているかを知った私たちは、より責任のある梱包、ディーラーへの直送、そして何よりも航空貨物の使用量を大幅に減らすことで、二酸化炭素排出量を減らし続ける決意を固めました。私たちの生産サイクルから空輸を無くすのは簡単ではありませんが、地球のためにゆっくりと進む船のクルーであることを誇りに思います。
4つ目のエピソードとなる次回は、使われなくなったスノーボードがどのようにカーボンフットプリントに影響するのかを探ります。
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