製品の大半をフランス国外で作っているのはなぜですか?どのような条件ならフランスで生産することができますか?
ここ数ヶ月、多くの方からこのような質問をいただきました。
「いつフランスで製品を作り始めるのですか?あなたがたは『環境保護』を主張していますが、なぜPictureの服は地球の裏側で作られているのですか?」
以下を説明する目的は、このアプローチが他のアプローチよりも優れていることを実証するためではなく、関連する制限や機会を含む、製造および流通モデルについて完全に透明化するためです。また、特定のカテゴリーの製品をフランスで生産する方法についてもご説明します。
2008年のブランド創設以来、Pictureは常に責任ある購入を手頃な価格で実現しようと努めてきました。できるだけ多くの人々、特に環境保護運動に積極的に参加していない大部分の一般市民に働きかけたいと考えています。
責任ある購入を、手頃な価格で標準的なものとするためには、市場が「真っ当」と考える範囲内で、製品の価格を設定する必要があります。
例えば自動車産業では、ハイブリッド車や電気自動車がディーゼル車やガソリン車よりも高価である限り、環境配慮型自動車の購入がお手頃であると主張することはできないでしょう。環境に優しい車は、一部の消費者のみが利用できるニッチ市場であり続けることになります。
衣料産業もまったく同じ状況にあります。Pictureは、通常のジャケットと同じ価格で消費者に提供できる、環境に配慮したジャケットを求めています。
このブランドを立ち上げたとき、私たちの流通戦略は、独立店舗と連携し、メジャーなボードスポーツ・ブランドの第二の選択と見なされることでした。
私たちの業界(スキー、スノーボード、サーフィン、スケートボード)の文化と歴史は、実店舗やオンラインショップを通じて、ブランドとエンドカスタマーの間に関係を構築してくれます。
これらの店舗は長い間、地元経済において重要な役割を果たしており、フランス内外、何千もの仕事に関係しています。質の高いアドバイスやサービスを提供したり、ローカルシーンに参加したりすることで、消費者との密接な関係を維持しています。
Pictureが選択した配信モデルにより、フランスおよび世界のアクション・アウトドア・スポーツ市場における新たなリーディング・プレーヤーとしての地位を築くことができました。さらに、Pictureの斬新な見た目、スタイル、デザイン、歴史に加え、環境に配慮したアプローチにより、独立系のショップが商品を新しく展開、共に成長することが可能に。おかげで私たちの商品のほぼ全てを売る切ることができました。
フランスでは、Snowleaderが良い例です。2008年に創業したこのオンラインショップは、北フランス・アルプスで80人の従業員を抱えるアクションアウトドアスポーツ専門店です。PictureはClermontとAnnecyの事務所で56人を雇用しています。
どちらの国も人件費が安いため、製品をサプライヤーから仕入れて小売業者に販売し、小売業者が競合他社ブランドと同じ価格で販売することができます。
その過程で、環境に配慮した責任ある素材を使用し、労働の権利を扱う工場と協力しています。
100%
PictureのTシャツに使われるオーガニックコットン
PictureのTシャツはすべてオーガニックコットンを使用しています。その綿はトルコの小さな村、Söke産です。Tシャツは100キロ離れたIzmirで作られています。
このTシャツを作っている工場は、2008年のブランド設立当初から私たちのパートナーであり、労働慣行のモデル工場もあるトルコのSeyfeliです。
私たちが販売しているTシャツは、コットンのTシャツとして適正な価格であり、環境に配慮した素材をほとんど使わない業界の他のブランドと同等であると考えています。この価格であれば、賃貸料、給料、税金、関税、フランスでの研究開発費、物流費、運営費といったそれぞれのコストにもかかわらず、小売業者とPictureは成長することができます。
私たちがオーガニックではなく通常の綿を選択するなら、30%安く仕入れることができます。しかし、これでは私たちの環境に対する約束に一貫性を持たせることができません。
つまり、Tシャツの価値の80%は地域経済に利益をもたらしています。
どの方法でも、原料をフランス国外から調達する必要があります。世界の綿花生産者のほとんどはインド、中国、米国にいます。フランスに綿花栽培は存在しません。綿を手に入れられたら、紡いで織って、染めて、フランスで製品を作ることはできます。
ただし、フランスの人件費はトルコや中国よりもかなり高いので、サプライヤーからPictureが20~25ユーロでTシャツを購入し、Pictureが30~35ユーロで小売業者に販売、小売業者が70~75ユーロの消費税込みで販売することになるでしょう。
Tシャツにそんな高い値段を払おうとする人はごくわずかです。責任ある購買を手頃な価格で提供するという私たちの目標から外れてしまいます。
Made in FranceのTシャツを上記と同じ価格で仕入れ、利益を上乗せしても、そのTシャツを手頃な価格で販売することができます。
これは、Hopaalや1083のようないくつかのフランスのブランドで選ばれているモデルです。
Hopaalの共同設立者であるClément氏は、彼のアプローチを次のように説明しています。
「現地で生産し、リサイクル素材を使用することは、高い生産コストを意味します。服を作るのは簡単ではないので、当然のことです。リサイクル素材を使用した当社の衣料品シリーズでは、紡糸、紡織、カット、そして製造する前に、まず原料を回収、分離、洗浄、リサイクルする必要があります。それぞれの段階にノウハウを熟知した職人が必要で、私たちは彼らに適切な賃金を支払っています」
「お客様へMade in Franceの衣料品を手頃な価格で提供するために私たちができる最善のことは、小売業者を通さず、私たちのウェブサイトを通してのみ販売することです」
何とも言えません。私たちは、ボードスポーツ・ウェア市場ではマイナー・プレーヤーに過ぎないと考えています。なぜなら、このブランドは、業界の基盤になるようなショップ(実店舗であれオンラインショップであれ)には存在しないためです。
結論を言うと、おそらく私たちの母国フランスでは成功したでしょう。選択された流通モデルは製品がどこで作られているかを理解するために不可欠なものでした。これは意識的な選択です。
2
ネックゲイターを作るために必要な分数
例えば、当社のネックゲイターは、フランスのChatillon-en-MichailleにあるCenyo工場で製造されています。ポリエステルはイタリア製です。ネックゲイターは2分という短い時間で作ることができます。素材をカットしてモチーフをプリント、ラベルを用意。あとは梱包するまでの時間が追加されます。これにより、当社は製品を妥当な価格で販売することができるのです。
フランスで製造できるのが望ましいのですが、ペットボトルから再生されたリサイクルポリエステル(ネックゲイターに使用しているリサイクルポリエステルは、欧州では入手できません)ではなく、従来のポリエステルを使用しています。
「あなたがたは『環境保護』を主張していますが、なぜPictureの服は地球の裏側で作られているのですか?」
これは、グローバルなブランドが直面する課題の1つです。「世界の反対側」とは、Pictureにとって大きな可能性を秘めているアジアやオセアニアのマーケットにとっては相対的なものです。
もし私たちがすべての製品をフランスで生産し、日本で販売したらどうなるでしょう。日本の人々にとっては、世界の反対側で作られていることになります。
実際には、製品が販売され、使用される場所の近くに工場を設置するのが理想的な生産方法です。一貫性を持たせるためには、原料を現地で調達し、紡績、製織、染色、製造を現地で行う必要があります。これは、全体の生産量を3(欧州・北米・アジア)で割ることになり、規模の経済を達成する能力が制限されることになります。また透明性が低下するばかりか、現在のようにサプライチェーン全体を監視する私たちの能力も低下します。
技術的には可能であり、輸送関連の炭素排出を大幅に削減して、地元の雇用を生み出すアプローチではあります。しかし現在のところ、当社の事業や生産量、物流能力を鑑みれば最適とは言えません。
しかし、私たちは取り決めたリストに完全に満足しているわけではありません。リストの各ポイントを改善するために絶えず努力しており、時にはより良い改善のために取捨選択をすることもあります。
この記事が、私たちのアプローチやフランス以外の国で製品を作る理由、そして母国でアパレル製品を作るために必要な資源について、皆さんへ明確な理解を与えてくれることを願っています。